法務士について

法務士の仕事

法務士とは?

国民に最も身近な場所で、国民が必要とする法律サービスを提供する法律の専門家です。その中でも、法務士は、国民の財産権を保護する権利保証の専門家としての役割を果たしています。

法務士の仕事は、主に登記に関するものが多いのですが、他にもいろいろあります。

1. 登記

登記にもいろんな種類がありますが、大きく分けると、不動産登記と法人登記があります。

不動産登記で一般人がよく接するものは、不動産売買や贈与による登記、相続による登記、根抵当権設定登記、根抵当権抹消登記などがあります。

売買や贈与、相続は多く知られている概念であり、根抵当権の設定は、一般的には銀行などの金融機関からマンションなどの不動産を担保にしてお金を借りる場合に行われ、借りたお金を返済するときは抹消登記を行います。

法人登記には、株式会社のような営利企業を設立する場合に行う法人設立登記と、設立後に役員(取締役、監査役など)の変更があったときに行う役員変更登記、資本金を増やすために行う資本増加(増資)登記、資本を減らすために行う資本減少(減資)登記、会社を整理するときに行う解散・清算登記など、いろんな種類があります。

また、社団法人や財団法人などの非営利法人の設立や変更に関する登記もあります。

 

2. 供託

法務士の仕事の中には、登記以外にも、供託というものがあります。供託にもいろいろな種類がありますが、代表的な供託には、債務者が金銭返済をしようとして、債権者(相手方)が返済金の受領を拒む場合や、または、相手に直接返済をしようとして、相手の住所が分からないといった場合に行う弁済供託があります。債務者は供託を行うことにより、供託した金銭を債権者が供託所から受領しなくても法的には相手方に債務を弁済したことになり、その債務を免れることができ、それ以上利子が発生することもありません。

 

3. 個人再生、破産、免責

個人再生や破産、免責の申請も法務士が担当する大事な業務の一つです。個人再生は借金を多く抱えている債務者が、債権者に対して債務額の約50%~30%程度の金銭を複数回に渡って分割返済することにより、その債務を免れる制度を言います。破産や免責の申請は、複数回に分けて債務を一部でも弁済する能力すらない者にあっては、現在の財産だけで債務を返済し(現在の財産がほとんど無いか、借金しか無い場合もあります)、残りは返済しなくても済む制度です。

 

4.不動産の入札(買受)代理

法務士の業務には、債務者が借金を返済しなくて所有していた不動産の競売手続となったとき、その不動産を競売で取得したい人に代理して取得申請(買受申請)を行うこともあります。これを「不動産の入札(買受)代理」と言います。

以上、登記や供託、再生・破産・免責の申請、不動産の入札(買受)代行は、法務士が代理人として行うことができる業務範囲です。

代理人として行うことができるということは、弁護士が訴訟代理人としての役割を行うように、本人に代わって申請代理人としての役割を行うことであり、委任を受けた範囲内での、書類上本人名義ではなく、代理人名義で本人に代わって意思表示をします。(代理人ではない場合には、書類上の本人名義でのみ意思表示が可能)

 

5. 訴訟関連業務

法務士が日常的によく担当する業務は、上記の登記業務のほか、訴訟に関連することが多いです。

主に民事訴訟関係の業務が多いですが、訴訟を提起するために訴状を作成したり、相手方が作成した訴状への答弁書を作成したり、準備書面等を作成したりすることなどがこれにあたります。

もちろん、書類の作成だけではなく、これを法院に提出したり、相手方が提出した書類を受け取ったりする業務も担当していて、訴訟など法的紛争にかかわる相談も行います。

刑事事件関係で法務士がよく担当する業務には訴状の作成があります。他にもいろいろな業務はありますが、民事訴訟と比べて処理する業務範囲は比較的狭いと言うことができます。

 

6. 競売などの強制執行

民事訴訟が終了した後も、債務者が借金を返済しないなど、債務の履行をしなかった場合には、債務者の財産に対して行う強制執行(不動産の競売、債券の差し押さえ、有体動産の競売、不動産の明け渡し・引き渡しの実行など)も法務士の主な業務の一つであり、訴訟の前に債務者である相手方が財産を処分することを防ぐためにする仮差押えや仮処分申請を行うのも法務士の主な業務の一つです。

 

7. 改名など家族関係登録(旧「戸籍」)関連業務

名前を変更したい場合に行う改名許可申請や生年月日を変えようとする場合など、さまざまな家族関係登録(旧「戸籍」)関係の変更申請も法務士の主な業務の一つです。

 

8. 成年後見関連業務

近年メディアによく取り上げられている成年後見人選任申請も、法務士が扱う主な業務の一つです。

成年後見人選任申請は、精神的能力が不足していて、一人では法律的な意思決定を行うことが困難な方を支援し補完してあげられる者(後見人)を法院に選任してもらうように申請することを言います(一般的には家族を後見人に選任申請する場合が多いです)。法務士は後見人選任申請を担当することもありますが、時には法院によって成年後見人に選任され、後見人として活動する場合もあります。

 

 

法務士と他の職種との区別

1. 弁護士との区別

弁護士と法務士の違いがよくわからないと言われることがよくあります。

形式的に言えば、法務士は、法務士法に業務と定められている業務(登記、供託、競売入札代理、再生・破産の申請代理および法院や検察庁に提出する書類の作成と提出の代行業務など)のみを行うことができますが、弁護士はこれを含む法律事務全般に関する業務を行うことができます。

しかし、実際には、弁護士は訴訟代理を主に担当しており、一般人が日常生活の中で接する多くの法律事務のほとんどは、法務士が担当していると言っても過言ではありません。

訴訟の場合で言うと、本人ではなく訴訟代理人である弁護士が法廷に出頭して弁論を行う場合(本人が出頭する時間が無いか、または訴訟事件に関する法的知識が無いため本人の直接弁論が困難な場合)でない限り、多くの場合は、法務士が訴状や答弁書、準備書面などの訴訟書類を作成し法院に提出し、本人が弁論期日に直接法廷に出頭します。

その理由は、法務士法上、法務士には訴訟代理権がなく、訴訟書類の作成および提出代行権限だけを有するからです。(法務士は訴訟代理人として法廷に出頭することはできません)

実際に、多くの訴訟事件は、あまりにも複雑で難解な事件でない限り、当事者本人が直接出頭して弁論を行える程度の法知識を持っているなら、弁護士を選任せず法務士に助けてもらいながら訴訟を行うことが多いです。また、弁護士事務所は、主に都心に集まっていますが、法務士事務所は、全国各地にまんべんなく所在しているので、法的支援が受けやすいのも特徴です。

メディアでよく言及される「一人で訴訟」も、法務士の助けを借りながら当事者一人で訴訟を行う場合が多いです。弁護士や法務士の助けを借りずに、純粋に当事者一人の力で訴訟を行うことはあまり多くありません。

 

2. 行政士との区別

行政士は、行政士法第2条に定められる業務を行います。主に、行政機関に提出する書類の作成、権利・義務や事実証明に関する書類の作成、行政機関の業務に関する書類の翻訳、上記書類の提出代行、認可・許可および免許証などを取得するために行政機関に対して行う申請・請求および申告などの代理、行政関係法令および行政に関する相談や諮問に対する応答などの業務を行います。

大まかに言うと、法務士は、法院や検察庁など司法機関に提出する書類に関連する業務で、行政士は行政機関に提出する書類に関連する業務を行います。

行政士の場合も、法務士と同様に、行政機関に一定期間勤務して資格を付与された場合と、行政士試験に合格した資格を取得した場合に分かれています。

 

3. 弁理士との区別

弁理士は、弁理士法第2条に定められる業務を行います。特許庁や法院に対して行う特許、実用新案、意匠や商標に関する事項を代理し、その事項に関する鑑定その他の事務を行います。

 

 

法務士の英語名称

法務士を韓英辞典で調べると「judicial scrivener」と出てきます。これは、法務士の旧名称が「司法書士」だった時代に作られた用語と見られます。

「judicial」は「司法の」「司法的な」という意味であり、「scrivener」は「代書人」という意味なので、それを翻訳したのではないかと思います。

もちろん、法務士の仕事が旧司法書士時代に比べて大きく変わってはいませんが、大韓法務士協会では、法務士の正式英語表記を「beommusa lawyer」と表示しています。

これは、法務士は基本的に法律家であるという前提で、一般的な法律家を指す「lawyer」となりますが、弁護士(米国では「attorney-at-law」、英国では「barrister」)との区別化するために、法務士のハングルの発音を英語表記にしたものです。

日本では、今も司法書士という名称をそのまま使っており、日本司法書士会連合会では司法書士の英語表記を「shiho-shoshi lawyer」としています。「shiho-shoshi」は司法書士の日本式発音です。

英国の場合には、弁護士を二別して法廷弁護士と事務弁護士があり、法廷弁護士は上記にも登場した「barrister」と称し、事務弁護士は「solicitor」と称します。

基本的には、法廷弁護士とは、法廷で弁論を行うことができる弁護士であり、事務弁護士は、法廷で弁論は行うことができず、一般的な法律事務を担当する弁護士を指します。(最近では、その区分が曖昧になってきているそうです)

韓国における法務士の仕事は、英国の事務弁護士(solicitor)の仕事と似ていると言われます。

アメリカでは、韓国の法務士のような業務を担当する者を「paralegal」と称することもありますが、こちらは一般的に、弁護士業務を補助する事務員を指します。

paralegalの地位や役割については、米国の中でも州によって異なりますが、ほとんどの州では独立した業務を行うことはできないそうです。

英国やカナダにもparalegalと呼ばれる職業群がありますが、アメリカとは異なり、より積極的な役割を担うと言われます。

 

 

法務士の社会的役割

法務士は、社会各所の法的ニーズに応えて、専門的な法律サービスを提供し国民が安定した法生活を営むことができるように支援しています。これにより、新しい法文化の暢達と、司法の民主化、国家の定義、福祉社会の実現などの社会的役割を果たしています。

 

 

法務士の活動

法務士は、全国各地の国民に最も近い場所で、国民のために多くの公益活動にも参加しています。無料法律相談、市民団体での活動、調整委員、犯罪予防活動など、様々な政治、社会、経済活動に参加しています。